鼻ぺちゃな猫種といえば、多くの人が真っ先に浮かんでくるのは「ペルシャ」かと思います。
そんなペルシャと似たような見た目をしている「エキゾチックショートヘア」はどんな特徴があるのか分からない方もいるのでは?
そこで今回はエキゾチックショートヘアの歴史や性格、飼い方のコツなどを詳しくご説明します。
エキゾチックショートヘアを知らない方も、エキゾチックショートヘアファンのみなさんもぜひ楽しみながらご覧ください。
エキゾチックショートヘアの歴史
エキゾチックショートヘアは、人の手による交配で誕生した猫種です。
ペルシャの人気が高かった1960年代は、ブリーダーの間でペルシャと同じ特徴を持ちながらも手入れの手間のかからない猫種が欲しいという意見が多く見られるようになりました。
その中でアメリカンショートヘアのようなシルバーの被毛を持ったペルシャが欲しいという要望から考えられたのが、アメリカンショートヘアとペルシャを交配させることでした。
結果的に2匹の交配はあまりうまくいきませんでしたが、アメリカのブリーダーであるジェーン・マーティンは産まれてきた子猫に魅了され、「スターリング」という猫種名を付け、新しい品種としての登録を働きかけました。
初めはシルバーの被毛しか認められていなかったスターリングですが、他のカラーも産まれることから、シルバー以外のカラーも許可し、名前も変更して「エキゾチックショートヘア」と呼ばれるようになったのです。
また、ジェーンが奮闘しているのと同じ時期に、キャロライン・バッセイは茶色い被毛を持つペルシャを作り出そうと試みていました。
結果的に産まれた子猫は黒っぽい毛を持つ子ばかりでしたが、短毛で鼻が低いという特徴を持った子猫たちのとりこになり、本格的に品種として確立させようと考えたのです。
しかし、アメリカでは1950年代にアメリカンショートヘアの血統を改善しようと、こっそりペルシャを異種交配させるブリーダーが存在しており、異種交配にあまりいい印象を持たないブリーダーも少なくありませんでした。
そこでキャロラインは品種を確立するうえで、しっかりとした基準を設けようと考え、シャムとペルシャから産まれた子猫にはアメリカンショートヘアのみの交配を許可したのです。
このような育種が行われたエキゾチックショートヘアは1966年にCFAからの公認を受け、正式に猫種として認められるようになりました。
エキゾチックショートヘアの特徴
セミコビータイプのエキゾチックショートヘアは筋肉質で、骨格が太いのが特徴です。
目は他の猫種よりもやや離れ気味についており、最大のチャームポイントでもある鼻はペルシャと同じで低くなっています。
短毛種のエキゾチックショートヘアは被毛の色も豊富で、ブラックやレッドなどすべてのカラーパターンが存在します。被毛は毛の密度が濃く、アンダーコートが厚くなっています。
エキゾチックショートヘアの性格
エキゾチックショートヘアはペルシャと似た大人しい性格なので、猫との生活に慣れていない初心者さんでも一緒に暮らしやすい子が多いです。
運動量も少ないため、遊びを催促されることも少なく、鳴き声は小さいのでマンションなどの集合住宅でも飼いやすい猫種です。
飼い主さんに対しては甘えた態度を見せてくれるので、スキンシップがとりやすいのも魅力です。
エキゾチックショートヘアの気を付けたい病気
流涙症(りゅうるいしょう)
鼻が低いエキゾチックショートヘアは、ペルシャと同じで「流涙症」という病気を引き起こしやすい猫種です。
目の周りに涙があふれてしまう流涙症は放置すると、涙やけが見られることも。点眼治療や目の詰まりを解消する「鼻涙管洗浄(びるいかんせんじょう)」という治療も検討していきましょう。
多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)
多発性嚢胞腎とは、腎臓を構成する遺伝子の異常によって腎臓に無数の嚢胞ができていく遺伝性の病気です。この病気を親猫が発症している場合、50%以上の確率で子猫にも遺伝します。
両方の腎臓の中に、水がたまった嚢胞という袋が現れ、腎臓の動きが弱まってしまうこともあります。早期発見ができるようにこまめな定期健診を行いましょう。
エキゾチックショートヘアにしてあげたい日頃のお世話やケア
エキゾチックショートヘアは短毛種なので、1日1回程度のブラッシングで十分です。しかし、毛が生え変わる換毛期は2週間に1回ほど、シャンプーで抜け毛をケアしてあげるのもおすすめです。
運動が苦手で食欲が旺盛な子が多いため、太ってしまわないように飼い主さんは食事のカロリーや栄養素に注意し、からだの内側から健康を守っていきましょう。
また、エキゾチックショートヘアは他の猫種よりも鼻が低いからこそ、お鼻の健康管理に気を配ってあげることが大切です。
日頃から鼻炎を引き起こしていないかなどをこまめにチェックして、かわいらしいチャームポイントを守っていきましょう。
記事監督 獣医師 藤沼淳也