今回は、かわいさと上品さを持ち合わせている猫、「ブリティッシュショートヘア」の魅力を伝えるため、歴史や性格、飼い方のコツなどをご紹介します。
シャムやアビシニアンなどのシャープな顔をした猫は、もちろんかわいいものですが、反対に真ん丸なお顔をした猫にも、また違った愛らしさがありますよね。そんな真ん丸顔の猫として有名なのが「ブリティッシュショートヘア」です。
ブリティッシュショートヘアの歴史とは?
ブリティッシュショートヘアは、イギリスで最も古い猫種のひとつです。
ブリティッシュショートヘアの起源は、昔ローマ人がグレートブリテン島に攻め入ったときにエジプトから紛れてきた短毛種の猫です。イギリスに住みネズミなどの害獣を駆除するようになったブリティッシュショートヘア。そのなかの活躍する個体だけを繁殖させていったのが、改良の始まりです。
1914~1918年にはペルシャとの異種交配が進み、見た目も徐々に変化し、長毛の子もたくさん生み出されました。
しかし、イギリスの猫血統登録団体であるBCCFはペルシャとの交配をよく思わず、第一次世界大戦後に、ペルシャとは第三世代(孫)以降のみを交配させてもよいという取り決めをしました。そのため、一時的にブリティッシュショートヘアの頭数は減少しました。
さらに追い打ちをかけるように、第二次世界大戦で飼育が難しくなり、ブリティッシュショートヘアは絶滅の危機に。そのため、ブリーダーたちは、ロシアンブルーやその土地に住み着いている短毛種の猫、ペルシャなどと交配させ頭数を増やしました。
その結果、頭数を増やし人々からの人気も上がり、1979年には現在の見た目でキャットショーに出場。ブリティッシュショートヘアの長毛種は、2009年から「ブリティッシュロングヘアー」という別品種としてキャットショーに参加するようになりました。
そんなブリティッシュショートヘアは、アメリカンショートヘアを生み出すために活躍し、不思議の国のアリスに出てくるチェシャ猫のモデルになっています。
ブリティッシュショートヘアの特徴とは?
ブリティッシュショートヘアは、丸い頭が特徴です。頬が目立ち、太くて短い首をしているため、首がないようにも見えます。
がっしりとした筋肉質なセミコビータイプのボディも、顔と同じく丸く、肩と腰が同じ幅をしています。
被毛のカラーはロシアンブルーのようなグレーがかったブルーソリッドが代表的です。しかし、ブラックなど他のカラーの子もいます。目の色もアクア以外のすべてのカラーが認められているため、カラーバリュエーションが豊富な猫種です。
また、ブリティッシュショートヘアはボディが完全に出来上がるまで、生後3年ほどかかるといわれています。
ブリティッシュショートヘアの性格とは?
ブリティッシュショートヘアは、成長期まではとても甘えん坊です。
しかし、成長期を終えて成猫になると、自立心が強くなる子も多く、なかには撫でられるのが苦手な子や、プライドが高く媚びるのを嫌う子もいます。
頭が良く賢いため、お留守番は得意です。飼い主さんがいなくてもおうちの中で安全に過ごしてくれます。
ブリティッシュショートヘアに普段からしてあげたいお世話やケアとは?
ブリティッシュショートヘアは太りやすい体質です。肥満は糖尿病などのさまざまな病気を引き起こす原因になるので、成長期を過ぎた頃から、飼い主さんが摂取カロリーを把握し、しっかり食事管理を行っていくことが大切です。
また、性格的に自我が強い子も多いため、成猫になってからシャンプーやブラッシングしようとしてもうまくいかないことがあります。子猫のうちから毎日のケアに慣れさせるようにしましょう。
ブリティッシュショートヘアを飼うときの注意点とは?
ブリティッシュショートヘアはマイペースに生活したい気持ちが強いため、突然の来客が苦手です。お客さんが無理に触ろうとすると怒る子も多いため、来客時は別の部屋でゆっくりしてもらうなど対策をとっていきましょう。
猫は通常A型の子が多く、日本の猫の70~80%がA型です。しかし、ブリティッシュショートヘアは半数以上の子がB型です。一般的でないB型の子は輸血が必要なときに困ってしまうことも。万が一のとき、冷静な対応するためには、事前に愛猫の血液型を調べておく必要があります。
ブリティッシュショートヘアは遺伝性の病気を引き起こしにくい猫種だとされています。
しかし、年を取ると心臓の病気にかかりやすく、4~6歳になると発症しやすい「肥大型心筋症」に注意が必要です。「肥大型心筋症」は、心室の壁が内側に向かって分厚くなることで血液の流れが悪くなる病気です。定期的に健康診断を受けましょう。
見た目だけでなくマイペースな性格も愛してあげよう
キュートな見た目のブリティッシュショートヘアは、心地よい距離感を保ちながら付き合っていける猫種でもあります。ぜひ沢山愛情を注いで、ブリティッシュショートヘアらしいマイペースな性格も愛せる飼い主さんになっていきましょう。
記事監督 獣医師 藤沼淳也