コラム:【獣医師監修】ペットを伴った引っ越し時に気をつけること

2020.07.01

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【獣医師監修】ペットを伴った引っ越し時に気をつけること

春は引っ越しの季節

春は新生活の始まり。新しい環境や生活になるのは人間も相当ストレスのかかることです。
もちろん大切なペット達も同じようにストレスがかかります。特に新生活に多いのが引っ越し。大切なペット達がストレスなく引っ越しするためには何か必要でしょうか?

引っ越し手段は何がある??

引っ越しの際に考えられる移動手段は3つ

1.自分で運ぶ(自家用車、公共交通機関)

環境の変化に敏感な子の場合、自家用車にて家族と同じ空間で移動することが最適です。ペットの状況をみつつこまめな休憩も出来るため比較的ストレスなく移動できます。
公共交通機関の場合は基本的には手荷物扱いとなるため、別途料金が発生したり、持ち込めない可能性があります。飛行機などの場合、夏場の短頭種の受け入れを行っていないこともあるので、受け入れサイズや料金と共によく確認しましょう。

2.引っ越し業者に依頼

長距離の移動や、引っ越し準備の手間を省くには引っ越し業者に依頼するのが良いでしょう。ただし、業者によってはペットの輸送に対応していない場合もあるので事前に問合わせすることが大切です。

3.専門業者に依頼

長距離の移動や珍しい動物種の場合は専門業者にお願いするのが良いでしょう。動物に詳しいスタッフや設備があるため安心して預けることが出来ます。ただし、料金がやや高くなってしまったり問合わせの手間がかかってしまいます。

移動距離や家庭状況によって様々に変化すると思いますので、まずは状況にあった選択を心がけて下さい。特に各業者に依頼する場合は動物の種類によっては対応していない事もあるため事前によく確認しましょう。

引っ越した先でペットの登録住所の変更手続き!

犬の引越しの際には、各市区町村に登録している届出の住所変更をしなければいけません。
同じ市区町村内での引越しの場合、役所の窓口もしくは保健所で「登録事項変更届」を提出します。

別の市区町村へ引っ越す場合は以下の方法で行います。

・旧住所の役所もしくは保健所で登録事項変更届を出す
・「鑑札」をもらう
・転入先の役所もしくは保健所で鑑札の提出と登録住所の変更手続きを行う

手続き場所については地域によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
また、管轄の市区町村によっては、前述の届出と鑑札のほか、狂犬病予防注射を受けた証明である「注射済票」、犬の登録料、注射済票交付手数料等が必要になります。

犬の引っ越し手続きの期限は管轄の市区町村によって異なりますが、出来るだけ早く手続きを行いましょう。

環境の変化

引っ越しをするとペットの身の回りの環境も変化します。
変化に対応できるかは個体差もありますが、特に高齢のペットや猫は環境の変化にすぐに対応できずに体調を崩すことがあります。
なるべく変化を少なくして調子を崩さないように心がけましょう。

居住環境

犬は人につき、猫は家につく」といわれるように、特に猫にとって居住環境は大切です。
普段慣れない場所に移動するだけでも猫にとっては大きなストレスとなり、狭いところや暗いところに隠れて出てこなくなることがあります。その間は食事や排せつについても限界まで我慢してしまうことがあります。
また、高齢犬についても視力が低下していると視覚以外の感覚で家具の配置を覚えていることがあるため、新しい環境ではものにぶつかったりすることが多くなります。
なるべく家具の配置を変えない、慣れた毛布やベッドで安心できるスペースを確保する、など環境の変化を最小限に抑えるようにしましょう。

トイレ

猫の場合はトイレをうまく覚えることが多いですが、引っ越しで環境が変化したときはまだトイレの位置を把握していないこともあるので、注意が必要です。
トイレ自体を大きく変更しないようにしたり、以前使っていた猫砂を一部持って行って自分のトイレの匂いをわからせたりの対策をするとよいでしょう。トイレの形状もできれば大きく変更しない方がすぐに慣れます。

散歩コース

犬の場合は引っ越し先での散歩コースを改めて開拓する必要があります。交通事情を把握して、安全に散歩できるコースを探しましょう。 拾い食いしそうなものがよく落ちていないか、ノミやマダニが寄生するような茂みがないかなども同時に確認しておきましょう。散歩中に他の犬と仲良くなったら、おすすめの散歩コースや近隣のペット施設の情報を聞いておくと役に立つことがあります。

動物病院の引継ぎ

引っ越し前に普段から動物病院にかかって治療している病気がある場合には、引っ越し先の近くの動物病院で治療の引継ぎができるようにあらかじめ紹介状をもらっておくとスムーズです。
紹介状がない場合は、改めて新しい動物病院での検査が必要になったり、治療方法が変更になって症状が変わる可能性があります。紹介状はかかりつけの動物病院の獣医師に事前に依頼しておくと作成しておいてくれることが多いです。一般的には書類作成料が必要です。
内服している薬がある場合には、新しい病院がすぐに見つからない場合を考えて多めに処方してもらっておくと安心です。
新しい動物病院を探す際は、かかりつけの紹介がもらえれば一番よいですが、つてがない場合には地図や口コミサイトなどでリサーチしましょう。
受診の前に一度動物病院に電話をしてみて、病気の対応が可能かを確認しておくとよいです。その時に病院の対応の仕方や雰囲気が自分にあっているか判断しましょう。

まとめ

引っ越しでは環境が大きく変化するため、事前になるべく変化を小さくするように配慮してあげるとトラブルが少なくなります。体調面にでる変化が一番重要ですので、特にストレスに弱い子や高齢の子、持病のある子には注意して対応できるようにしておきましょう。

記事制作・監修 獣医師 天野謙一郎

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