当社が行ったペットの熱中症調査では、ペットを飼われている方の約9割の方が熱中症対策を行っていることがわかりました。
ペット飼育者の約9割がペットの熱中症対策を実施!
ペットの熱中症対策はされていますか?(n=174)
88%の方が「ペットの熱中症対策を実施している」と回答し、約9割の方がペットの為に熱中症対策を行い病気にならないように心がけていることが見受けられました。
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【ペット調査2021】約9割の飼育者が「熱中症対策」を実施! ~高額な治療費がかかる事例も~
https://www.animalclub.jp/category/news/182_20216211033.html
ペットを飼われている方にとって、あたりまえになりつつある夏の熱中症対策。長引くコロナ禍の中、今年も猛暑がやってきました。
今回は、獣医師監修のもと、具体的な熱中症対策方法4選と、ペットが熱中症になってしまったときの正しい応急処置の方法をご紹介します。
対策① 熱中症が発症しやすい環境を知ろう
熱中症は屋外でかかりやすい病気と思われがちですが、屋内でも発症します。
高温多湿環境下の運動(散歩)中や空調の効いていない部屋に滞在した際によく発症するので特に注意しましょう。
暑い時間の散歩や、過度な運動中
空調の効いていない部屋に滞在した際
トリミング時のドライヤー
対策② 熱中症になりやすい子を知ろう
「短頭種」や「肥満」、「被毛の厚い動物」や「心疾患、呼吸器疾患のある動物」は熱中症になりやすいので特に注意が必要です。肥満は熱中症の原因でもあるため、普段から太らないよう適正体重の維持に努めることが大切です。
短頭種
犬:ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、パグ、ボストン・テリア、ボクサー、シーズー、ペキニーズ、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなど
猫:ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアーなど
被毛の厚い動物
犬:シベリアン・ハスキー、サモエドなど
猫:ノルウェージャンフォレストキャット、サイベリアンなど
小動物:うさぎ、チンチラ、フェレットなど
肥満(肋骨が脂肪に覆われていて触れず、上から見たときにくびれがない状態)
心疾患、呼吸器疾患のある動物
対策③ 環境ごとの熱中症対策方法を知ろう
熱中症の具体的な対策方法を屋内編と屋外編に分けてをご説明します。
それぞれの環境にあった対策を行い、ペットが熱中症にかかるリスクを軽減させてあげましょう。
屋内編
室内の温度、湿度を動物にとって最適な状態に調節する
動物は暑いと感じたら日陰や風通しの良い場所に移動します。逆に寒いと感じたら日当や温かい場所に移動したり、体を丸くしている様子が見られます。ペットの様子を見て室温、湿度を調節することが大切になります。
温度 | 湿度 | |
---|---|---|
犬 | 26℃以下 | 50-60%程度 |
猫 | 28℃以下 | 50-60%程度 |
チンチラ | 18-26℃ | 40-50%程度 |
※数値は目安となります。大型犬、肥満、短頭種、被毛の厚い品種、心疾患、呼吸器疾患のある動物は温湿度を低めに設定し、ペットの行動を観察して各々最適な温湿度に調節することが大切です。
クールマットや保冷剤を活用する
エアコンや扇風機だけではなく、クールマットを使用したり、保冷剤をタオルに包んで置いておくことにより快適な温度や湿度を保ちましょう。
ケージの設置場所に注意
ゲージや犬小屋は直射日光のあたらない場所に設置しましょう。特に小動物のケージは直射日光が当たらず、風通しの良い場所に設置しましょう。
常に新鮮な水を自由に飲めるように
脱水予防ため、常に新鮮な水を自由に飲めるようにしましょう。
猫は特に長時間放置した水を嫌う傾向があり、飲まない場合もあります。こまめにお水を替えてあげましょう。
屋外編
散歩は気温の高い日中は避け、早朝や日が沈んだ後に
高温多湿な環境が熱中症の要因になるため、お散歩は気温の高い日中は避け、早朝や日が沈んだ後など、比較的涼しい時間帯に行いましょう。
アスファルトの温度に注意
なるべく、アスファルトより土や芝の上を歩かせるようにしましょう。また、アスファルトは日中、日が沈んだ後しばらくは温度が高くなっているので注意しましょう。
熱中症対策グッズを活用しよう
クールウェアの着用や冷やしたタオルを首に巻くことは体温上昇を防ぐのに効果的です。
こまめな水分補給を
脱水予防の為、こまめに水分補給をしましょう。また、水をかけてあげるのも効果的です。
対策④ 熱中症の症状を知ろう
熱中症は、初期の段階でペットの異変に気付き、早急に対処してあげることがとても大切です。
このような症状が見られた場合は、慌てずに応急処置を行い動物病院に連れて行きましょう。
初期症状・軽度な症状
・パンティング(口を開いた状態で行うハアハアと浅く速い呼吸)をしている
・体を触ると熱い
・よだれが多い
・元気消失(じっとしている、動きが鈍い、元気がない、ぐったりしている)
重度になるにつれて見られる症状
・食欲不振(食欲がない、ごはんを食べない)
・嘔吐
・下痢、血便
・痙攣、発作(全身や身体の一部が震える)
・意識障害(呼びかけても反応しない、反応が薄い)
もし熱中症になってしまったら?おうちでできる応急処置方法
熱中症になってしまったら、即座に上昇した体温を下げ、脱水を改善することが重要です。
可能であれば、体温を測り、適切な処置を行いましょう。体温を測ることができない場合は、意識がはっきりしているかどうかで適切な処置方法を判断しましょう。
体温が40.5℃以下で意識がしっかりしている場合
風通しが良く涼しい場所に移動させ、十分に水を飲ませましょう。
体温が40.5℃以上もしくは意識がはっきりしていない場合
冷水ではなく、常温の水で全身を濡らす、もしくは水で濡らしたタオルで全身を包み、扇風機などで風を当て体温を下げましょう。
※早く体温を下げようと冷水を使用すると、末梢血管の収縮により熱放散が阻害され、逆に体温が下がりにくくなってしまうため、常温の水を使用しましょう。
病院へ連れていく際の注意点
移動中も車内の冷房を効かせたり、窓を開けて風が当たるようにして移動しましょう。
まとめ
熱中症は、重症化するとペットの命に関わります。しかし、熱中症は正しい知識で対策を行えば予防することができます。ペットの体調や環境に気を配り、しっかりと熱中症対策を行い、厳しい夏を乗り越えましょう。
熱中症以外にも、気温が上がった際に気を付けるべき病気があります。当社では、獣医師監修のもと、ペット飼育者に気を付けてほしい病気をご紹介しております。
■関連リンク
「気温が上がると気を付けたいこと」
https://www.animalclub.jp/column/column_10.html
記事制作・監修 獣医師 藤沼淳也