狼に似たクールな容姿とパワフルな体格、でも中身は人懐っこくて遊び好き。その優美な姿から一緒に散歩していると羨望の眼差しが降り注ぎますが飼い主さんはスタミナお化けのシベリアン・ハスキーに長時間付き合うので疲労困憊なことも(笑)
性格と見た目のアンバランスさが可愛らしいそれがシベリアン・ハスキーなんです。
子犬の頃にやって来た我が家のシベリアン・ハスキー
うちにシベリアン・ハスキーがきたのは彼がまだ生後3か月のときでした。
近所に住むおじさんにいらないか?と言われて二つ返事で貰ってきてしまう母。なんでそんなに軽いんだ。
生後3か月(名前:リキ 性別:オス) その時はシベリアン・ハスキーという犬種も知らず。その脚の大きさから「こいつは大きくなるのかもな」くらいの認識でした。
子犬時代からとにかくパワフルで一日中遊び回っては新聞紙を破り、部屋中駆け回り、箪笥をかじり、終いには寝ている人の髪の毛をがじがじと噛みだすのです。将来ハゲたらお前のせいだからな!と思いながらも今となればいい思い出です。
虹の橋を渡ってしまった子もたまにはしっかり思い出さないといけないですね。ということで「実録!本に載っていないシベリアン・ハスキーの生態」をお届けします。
シベリアン・ハスキーの概要と歴史
シベリアン・ハスキーはカナダ北極圏からシベリアを原産地とする大型犬です。
遊牧民であるイヌイトに牽引用として重用されていたところ19世紀の毛皮商人たちによって偶然発見され1909年北アメリカに持ち込まれました。
同年には犬ぞりレースに初めて参加し好成績を収めたことによりその有用性が認められ一部の犬ぞり愛好家の間で広まっていきました。
その名を一躍有名にしたのは1925年アラスカの都市ノームでジフテリアが大流行した際です。シベリアン・ハスキーが雪や氷の極寒の中500km以上を走り抜けて血清と薬を届けたのです。
このことがニュースとなり一気に知名度をあげることになりました。
日本ではバブル景気頃に人気漫画の影響から大人気犬種となりましたが運動が多く必要で抜け毛も多いなどの理由から残念ながら飼育放棄が相次ぐという状況になってしまいました。
今ではシベリアン・ハスキーの飼育頭数も落ち着き、飼育方法なども周知されています。もともと穏やかで気品のある性格なので一定の人気を保っており日本の街でも時折みかけることができます。
シベリアン・ハスキーの特徴と性格
そり犬の中では最も小さく軽量の犬種ですが動きは機敏で活動的で疲れを知りません。
滅多に吠えませんが時折狼によく似た遠吠えをします。
たくましい四肢はまっすぐで骨太です。毛はダブルコート(上毛と下毛)からなり換毛期には小まめなブラッシングが必要です。
毛の色はブラック×ホワイト、グレー×ホワイト、シルバー×ホワイト、ブラウン×ホワイト、ホワイトのみと様々です。
瞳の色もブルー、褐色、ハシバミ色とあり両目が異なるオッドアイもいます。体高は50㎝~60㎝、体重は15㎏~30㎏が標準とされています。
性格は陽気でおおらかで楽天的。家族や他のペットとも友好的です。初対面でも心を許してしまうのであまり番犬向きではないと言われます。
運動が大好きで好奇心旺盛です。シベリア原産らしく寒さに滅法強い反面暑さには弱いので温度管理が必要です。シベリアン・ハスキーは他の犬種と比べて病気になりにくい犬種です。
強いて言えば眼球系の疾患が多い傾向にあります。また、骨格・関節系の疾患や怪我も見られるため、室内で飼う場合は滑りにくい床材を敷いて負担のないようにしましょう。
うちのシベリアン・ハスキー〜へばらないスタミナとオッドアイの持ち主〜
うちで育つとなんでも大きくなるようで、彼も例外ではなくシベリアン・ハスキーとしては大きめの35㎏程の体重がありました。
どれだけ散歩してもへばらないスタミナとリードを引く力の強さを持っています。
オッドアイ(左右目の色が違う)で片目は薄い水色、片目は紫でした。
夜によく遠吠えをしていました。近所迷惑なので止めることもしばしば。
叱らなくても、「ねぇリキさん」と肩に手を置くと「なに?」という感じで穏やかに振り向いてくれます。どうやら興奮しているわけではないんですよね。
穏やかな性格
やんちゃで遊び好きでしたが、優しく懐の深い面も持ち合わせていました。散歩中に犬と出会っても友好的ですぐに仲良くなります。
子供に対しても辛抱強いです。飼っていた時期うちの家は小学校の通学路にあったのですが、ある朝遅めに起きると家の前を歩く子供たちが撫でたり抱き着いたりしていきます。
お座りをしてお手をしたり顔をべろんと舐めたりして穏やかな態度でした。リキも小学生との触れ合いを大切にしていたのか朝になると庭に出たがりましたね。
うちのシベリアン・ハスキーは〜頑固な一面も〜
力が強く体力もあるので散歩は大変です。なんせ朝と夜それぞれ1時間程行かないとストレスが溜まってしまうのです。
散歩大好きなのですがどこでもご機嫌に走ってくれるわけではありませんでした。過去に何かあったのか気に入らないコースには意地でも行かない頑固さがありました。
散歩中に急に座り込み、引っ張っても「そっちは無理なんです」とまったく動きません。無理やり動かそうとしてもそこはどっこいそり犬なのでこちらが勝てるわけもなく仕方なく折れてしまいます。
シベリアン・ハスキーは楽天的な性格だと言いますがうちのは少し神経質だったのかなと思います。
プロレスごっこ好き
雨が続く梅雨の時期はなかなか散歩もままならないのでストレスが溜まってきます。そんな時はプロレスごっこです。
リキが甘噛みをしかけてくるのでそこからじゃれ合いお互い身体を入れ替え上になったり下になったり。本人たちは遊んでいるつもりですが周りからみると怖いのかもしれません。
リキは優しく噛んでくれているのですがそれでも犬の牙はすごい。腕がミミズ腫れだらけになります。半袖時期はミミズ腫れが見えてしまうので担任にいじめやDVにあっているんじゃないかと疑われたこともありました。
雪の日のはしゃぎようがすごい
ご飯よりも散歩よりも、もしかしたら雪が一番好きなのかもしれないです。
ジャンプしながら駆け回る、ブルドーザーのように頭で雪を掻きわける、のどが渇けば雪を食べます。雪の日の散歩も納得するまで行くとなると果てしなく走ることになります。
空き地を見つけては大はしゃぎ、公園を見つけては大はしゃぎ。こっちを見ては追いかけっこしようぜと誘ってきます。よく飽きないなぁ…と思いながらも私も変なテンションになり笑いながら汗だくで遊んでいました。
シベリアン・ハスキーってどうですか?と聞かれたときに私は「やんちゃでいいやつ」と答えます。
高温多湿な日本の気候に向いてないとか、体力があって運動しないとストレス溜まるから大変とか、力が強くて遊び好きですぐに甘噛みしてくるとか、犬にはなんも関係ないです。
悪気あってのことじゃないですから。そういう性質です。要は飼い主がどうその性質と付き合い、愛らしく思えるかです。
そして「やんちゃでいいやつ」のあとにこう言います。「また飼いたいです」と。
記事監督 獣医師 藤沼淳也
※本記事はシベリアン・ハスキーの飼い主さまの体験談を基に当社経営企画部にて編集構成しております。